固定化したシトクロムP450発現大腸菌によるwhole?cell?bioconversion

摘要

シトクロム P450 (CYP) は、ほとhどすべての生物 が有するヘムタンパク質の一群で、その多くは酸素原 子 1 個を基質に導入するモノオキシゲナーゼである。 CYPが触媒する酸化反応は基質に対して位置·立体選 択的に進行するため、様々な有機化合物の合成への応 用が期待されている。一方、CYPが活性を示すために は、細胞内の補酵素NADHまたはNADPHから得た電 子を、電子伝達タンパク質を介して CYP へと授与す る必要がある。細胞が保持する酵素を分離精製せずに 細胞ごと生体触媒として用いるwhole cell biocatalystの 手法では、補酵素は宿主細胞から供給され、電子伝達 タンパク質は CYP との共発現により細胞内に共存さ せることが可能である。このため、CYPを用いた反応 系において、whole cell biocatalyst の利用は有効と考え られる 1) 。さらに、大腸菌を固定化することにより、 反応系からの菌体の分離が容易になり、連続反応プロ セスの構築が可能となる。本研究では、CYPを発現す る組換え大腸菌をwhole cell biocatalystとして利用し、 アルギン酸ゲルに包括固定化した大腸菌による whole cell bioconversionについて検討した。