分光三次元内視鏡に関する研究―白色リングビーム光源とラジアル分光器の開発

摘要

我々のグループは，これまでに円錐ミラーと半導体レーザからなるリングビーム光源による内面形状計測法を提案し，三次元計測プローブカメラを開発している。研究開発を進める中で，内面形状計測以外にもキズ検査などが要求されている。これに対応するために，光セクショニング面の輝度特性からキズ検査を行うシステムを提案してきた。これらはパイプや配管，エンジンシリンダなどを定量的に評価する手段として有用であった。さらに，我々はこのシステムを医学分野への展開を進めている。医学分野では特に癌診断の早期発見が望まれている。その主要な手法の一つに内視鏡診断がある。これは医師が患部の形状や色を判断しており，医師の経験に大きく左右される。このような背景から，近年，光バイオプシが多数提案されている。なかでも，分光バイオプシ技術は癌細胞の成長に伴って，血管成長の具合から癌を早期発見する方法である。癌細胞が存在すると，栄養を吸収しようとして癌細胞付近では毛細血管が張り巡らされ，かつ，その付近の血管は太くなる。これを分光イメージングしている。狭帯域干渉フィルタとカラーカメラを使用している方法などが提案されている。本研究では内面の三次元形状と共にその分光特性を同時に取得できる内視鏡の開発を目指している。今回，白色リングビーム光源とラジアル分光器を開発し，内面の三次元形状のみならず，その分光情報も同時に取得できるシステムの開発を行ったので報告する。