微粒子含有ペースト注入による疲労き裂進展抑制機構の実験的検討

摘要

社会構造物及び生産設備等の高経年化に伴い，構造物の補修技術の確立が課題となっている．き裂に対する応急補修法としては先端へのストップホール法，溶接補修，研摩仕上げ等が存在するが，いずれも現場での施工時間を要することやき裂部周辺組織への悪影響が無いよう施行するには熟練を要するなどの課題がある．一方，粒子及び粘性流体によってくさび効果が生じき裂進展が抑制される現象が報告されている．近年くさび効果を積極的にき裂面内に導入し，き裂進展の延命化を図るための高硬度の微細粒を含有するペースト（以降，微細粒ペーストと呼ぶ）が開発されている．き裂進展寿命の延命化効果を判定して本技術の信頼性を高めるためには, ペースト注入によりき裂開閉口挙動がどのように変化しているかを明らかにする必要がある．本研究では，微粒子ペーストによるき裂進展抑制機構を明らかにするため，き裂開閉口挙動のその場観察を行いくさび効果の詳細を観察したのでその結果を報告する．