弾性体のすべり摩擦におけるゆっくりすべりと巨大地震

摘要

基板の上にバネでつながれたブロックを置き，バネの端を引っ張ると，バネが十分にやわらかい場合にブロック全体が動いたり止まったりするスティック‐スリップ運動を示すことが知られている．一方，基板の上にやわらかい高分子ゲル（以下ゲル）をバネにつながずに置いてすべらせると，しばしば，接触面の一部のみがすべり，それ以外の接触面では固着した状態を保つ“局所的な”スリップが起こる．局所的なスリップは，大小様々な大きさで起こり，ゲル内部に蓄えられた応力を部分的に解放するが，それはちょうど地球内部のプレート境界で発生する地震現象に対応すると考えられる．本研究では，シリコーンゲルとアクリル樹脂との摩擦実験の際に発生する局所的なスリップに焦点を当て，ゆっくりすべりや巨大なすべり（巨大地震）がどのように起こるかについて研究を行なった．