大都市における地下街の変遷と今後のあり方に関する日中比較研究:東京と上海のケースを中心に

摘要

日本での地下空間利用は多岐にわたるが、その中で地下街は単なる商業施設だけでなく、都市の立体化開発や、都市基盤の強化に役割を果たしており、都市空間において市民の生活場所としても定着されている。方、中国での地下空間は、主に戦備、避難用の空間として１９９０年代まで開発された。民間防衛空間と呼ばれるこれらの地下空間の経済性が問われたことから、商業用の地下街として利用するケースが多く見られる。また都市化の進行につれて、地下街の開発は不動産投資のターゲットとなっている。本研究は両国における地下街の事業経緯と位置づけ機能の相違、商業形態及び空間に関する比較を通じ、現在の中国の地下街の問題点を明確にし、今後中国の地下街開発利用に求められる計画、その後の運営管理に関する知見を得ることを目的とする。