ルール地方における人口減少対策としての住宅建設施策の状況:若年世帯の持家取得への援助を中心として

摘要

ドイツの人口減少と高齢化の進行状況は、地域で異なる。旧西ドイツ区域では、旧工業地域であるルール地方で大きく進行している。対策として、若年層の住宅建築を促して定着を図る施策を進めるケースがいくつか見られるが、内容は市によっていろいろである。筆者は、ルール地方の主要6都市に関し、まちづくりに関連する多数の新聞記事を蓄積している。そこで、この中から住宅建設による人口対策に関する情報を抜き出して検討し、ルール6都市において、住宅建設面でどのような対応が行われているかを分析したい。表1に、対象都市の人口動向を示した。 6都市とも出生数より死亡数の方が多く、自然動態はマイナスである。社会動態は都市と年によって変動し、増加したり減少したりしている。都市別で人口減少が最も小幅なのはドルトムントで、11年には僅かに増加に転じた。