日本各地の下水処理場における微生物群集構造の比較解析

摘要

生物学的廃水•廃棄物処理は、下水道システムにおい て中核をなす技術であり、その主役は微生物である。環 境微生物群の解析は、分子生物学的手法の導入に伴い、 rRNA遺伝子情報を基にした分子系統学的なァプロー チにより、「どのような微生物か、どれだけ居るのか？」、と いう問いには答えられるようになつてきた。下水道システム に導入されている各種活性汚泥法や嫌気的汚泥消化法 など、従来ブラックボックスであった生物学的処理プロセ ス中の微生物群も例外ではなく、多くの研究者がその解 明に携わり、様々なデータが蓄積されている。そして次世 代シーケンサーなどの普及に伴い、大量の遺伝子データ を取得することが可能になった。例えば、デンマークのオ ルボーグ大学の研究グループは、デンマークの様々な処 理施設の活性汚泥や嫌気性消化汚泥の微生物群集構 造解析を行い、データベースを構築している。このように 下水道システムにおける微生物群集に関する知見はより 身近になってきたと言える。