準工業地域に建つ町工場の構え 大田区大森を事例として

摘要

大田区大森南2、3丁目(図1)には住宅地に小規模専用工場や併用工場(以下、町工場)が密集しており、建物の連続としての町並みは雑然としている。しかし個別の町工場をみると、生産と居住の場をもつ建物が、間口の狭い敷地いつばいに建ち、搬入·搬出のために建物は道路側に作業場や駐車場となる空地を設け、地上階を工場とするといった条件を共有している。この条件に合った建物がある頻度で反復して現れることにより、大森の町並みは地上にシャツターや階段が現れ、上部で建物が突き出すといった特徴をもつことから、分散して存在する個別の建物により町並みを捉えられる可能性があると考えられる。そこで本研究では、大田区大森2,3丁目の準工業地域を対象とし、個別の町工場の構えの一端を明らかにすることを目的とする。