ハンネス'マイァーの「生物学的」という概念について

摘要

本研究はハンネス・マイァー（Hannes Meyer: 1889-1954)の建築作品を1920年代末から30年代初めのモダニズム建築の一傾向として建築史上に位置づけようとするものである。特に本稿はその一環として1920年代末のマイァーの作品における心理効果及びランドスケープという特徴に注目し、その背景に「生物学的(biologisch)」という概念があることについて考察する。機能主義者というマイァーの評価は既往研究において共通しているが、彼の思想は1928年頃を境として機械的な美学を示す徹底した機能主義から居住環境と融和する機能主義へと変貌し、1920年代末の機能主義の新局面を切り開いたものとして評価される。