自励振動型静電アクチュエータの小型飛翔ロボットへの適用

摘要

1995 年の阪神淡路大震災や2011 年東日本大震災などの大規模な災害では，多くの被害が生じている．そのような現場では，安全性や迅速性の観点からロボットの有効性が長らく指摘されてきている．その中でも小型のロボットは従来のロボットでは難しい狭隘箇所の探査を可能とし，また小さく軽量であることから安全性が高く今後需要が高まっていくと考えられる．小型飛翔ロボットはDelFlyMicroのように翼幅10 cm 程のサイズにおいてはバッテリーを搭載することで自立飛行を可能としている．しかしrobobeeのような翼幅30 mm のサイズでは自立飛行は実現されていない．小型飛翔ロボットではエネルギー密度の高いアクチュエータが必要であり，そのようなアクチュエータの駆動には交流電圧を必要とすることが多い．交流駆動では，インバータなどの要素が必要となるなど，ワイヤレス化を実現する上での課題となっている．本論文ではこのような課題を解決するために，自励振動型静電アクチュエータに注目する．本アクチュエータは電極と振動子からなるシンプルな構造であるとともに，直流電圧により振動を発生可能な点から自立化に適していると期待できる．小型化に伴い力密度が増加するという特性もある．このような特性より，自立飛行可能な小型飛翔ロボットに有用であると考えられる．そのため本稿は，自励振動型静電アクチュエータを小型飛翔ロボットへ適用した事例を示す．