スズメバチ栄養液中のアミノ酸成分（Vbspa Amino Acid Mixture：VIA．A．M）の脂質代謝活性化作用

摘要

食物連鎖の頂点に立つ社会性昆虫として知られるスズメパテはその社会性を維持するため，生命の在り方を根源的に左右する食のシステムの発達分化によって揺るぎない強固な絆を作り出している。 成虫は捕食した昆虫を肉団子にして巣に持ち帰り幼虫に与え，幼虫は自身の生長とメンバーの増員のために，成虫が少しでも多くの餌を捕獲出来るように食した肉団子から栄養液を作り，成虫が困難な狩を継続出来る持久力を維持するため，肉団子と交換に成虫へそれを与える。 このような食物交換（栄養交換：Trophallaxis）の仕組みはスズメパテの先祖で単独生活をしていた狩人蜂が獲物を捕獲する時に用いた腹部の先端にある毒針をより効率的な狩をするために自由自在に動かす仕組みを発達させて来た体構造に起因していると考えられる。 効率的に狩をするため，腹部の付け根を極端に細くし，毒針（腹部）の回転も可能にする程のピンポイントで胸部と繋がるくびれ構造を獲得した。 そのため食道が細くなり，固形食が通らなくなり，成虫は流動食しか摂取出来なくなった。 この栄養交換はスズメパテの社会性を強固にしたが，それだけではなく，栄養液はまた，消化吸収の効率化のみならず，成虫の持久力や俊敏さなど運動能力の飛躍的な向上と，個体の様々な機能向上に役立っていることが示唆された。