血管性認知症の分子病態

摘要

血管性認知症はアルツハイマー病に次いで多い認知症である。 本邦における血管性認知症，アルツハイマー病を含む認知症の患者数は170万人と推計されており，今後の増加が見込まれている。 更にその原因となる脳血管障害は有病者数の増加が著しく，現在の脳血管障害受療者数は170万人であるが2020年には300万人に達すると予測され，血管性認知症予備軍の増加が危倶されている。 また近年，Nun studyをはじめとしてアルツハイマー病の血管因子説が提唱され，脳血管病変が老人班や神経原線経変化といった病理変化と相乗的に作用し，認知症を発症させることが指摘されており，脳虚血が神経変性を加速する機序に対する関心が高まっている。