ヘルムホルツ『音楽理論の生理学的基礎としての聴覚学説』（1863)

摘要

へノレムホノレツ(Hermann Ludwig Ferdinand von Helmholt ；1821-1894) (Fig.1)は1821年8月31日にベ ルリンの南西26 kmのポッダムでギムナジゥムの教師 の家に生まれた。ポツダム宣言で有名な都巿である。へ ルムホルッは物理学に興味があつたが，父の薦めでまず 医学を履修することにした。ベルリン大学ではミュラー (Johannes Peter Milller ；1801-1858)の薰陶を受けた。 ミュラーはこれまでにも述べたように，生物学の研究に 物理学?化学的な手法を使うというドィッの伝統の嚆矢 であった。ミュラーは「特殊感覚エネルギーの法則」（す ベての感覚神経系はその始点から終点に至るまで，それ ぞれに固有の感覚を生じさせる力を持ち，感覚器に対す る刺激の適不適にかかわらない）を指導原理として弟子 達に伝えており，ヘルムホルツも例外ではなかった。