特定原材料表示と検査法～えび、かにの表示義務化～

摘要

現在，我が国では少なくとも300万人が何らかの食物アレルギーを持っていると考えられている．しかし，アレルギーに対する有効な治療法はなく，アレルギーを誘発する原材料を含む食品を避けることが，最も一般的な治療、予防法となっている．アレルギー物質を含む食品に関して，表示による情報提供の必要性が高まったことから，平成13年4月に食品衛生法関連法令の改正が行われ，アレルギー物質を含む食品の表示制度が定められた（本格的なスタートは平成14年4月であった）．厚生労働省は，原因物質別の発症数および重篤度に関する調査結果を基に，卵，牛乳，小麦，そば，落花生の5品目を省令により特定原材料と定め，全ての流通段階での表示を義務付けた．また，通知で定める特定原材料に準ずる20品目（あわび，いか，いくら，えび，オレンジ，かに，牛肉，くるみ，さけ，さば，大豆，キウイフルーツ，鶏肉，バナナ（平成16年12月追加），豚肉，まったけ，もも，やまいも，りんご，ゼラチン）については表示を推奨した．