マルチチャープレーダと空洞判定AIの開発: 探査深度を向上させた路面下空洞探査車と空洞判定へのAIの適用性

摘要

近年、道路面下の空洞探査に専ら使用されるのは、車両型の路面下空洞探査車である。路面下空洞探査車は車両で走行し空洞を探査できる装置であるため、調査効率が非常に良い。このことから、陥没の未然防止に非常に貢献していると考えられる。ただし、車両で走行するだけで長大な路面下データを取得できるメリットがある一方で、その大量のデータの解析には、多くの時間がかかる。データ解析は、技術者の目視による定性評価で行われており、空洞の見逃し防止の観点から、多くの技術者が解析に携わる。このようなデータ解析には、膨大な時間と費用がかかる上に、技術者の熟練度の違いや解析技術の継承、客観性担保等の課題が顕在化している。本稿では、これまで実施されてきた地下1.5m程度以浅の路面空洞探査精度はそのままに、さらに地下1.5m程度以深の空洞探査を可能としたマルチチャープレーダ探査装置の概要と探査事例とともに、路面下空洞探査データ解析における課題解決を目指して開発したAI（Artificial Intelligence: 人工知能）の概要を紹介する。