TsRm評価法を用いた車車間通信の通信半径に関する検討～通信すべき車両を考慮した車車間通信の性能評価

摘要

本論文は，安全を目的としたITS情報通信において，評価領域全体の車両数に対する評価対象車両数の割合である「該当車両率」を導入することで，車両の中心位置が2秒以内に5m以内となる車両を評価対象車とする「2s5m評価法」を一般化した「TsRm評価法」の特性を検討し，この評価法を用いた車車間通信の評価から最適通信半径が存在することを明らかにしている．まず，「TSRm評価法」のパラメータである衝突判定時間や衝突判定距離の範囲が該当車両率に与える影響を検討している．本研究の条件下で，「2s5m評価法」の場合，評価対象車両台数が従来のITS情報通信の評価指標に広く用いられていた全領域評価の車両数の7%程度であることを示している．次に，同じ条件下で，必要情報取得率が最大となる車車間通信の最適通信半径は，「2s5m評価法」の場合20mであるのに対し，全領域評価の場合200mであることを示している．「TsRm評価法」から決定される車車間通信の最適通信半径が大幅に小さく，これは周波数利用効率が高いことを意味している．最後に，これらの結果から，限られた帯域で安全を目的とした車車間通信の評価を適切に行うことが重要であると結論されている．