道路交通事故における歩行者死者の状況の提示と対策の提言－IRTAD参加諸国における道路交通安全先進国と日本との諸数値の比較検討

摘要

世界における道路交通事故による死者は年間125万人、負傷者数は約5000万人である。自然災害と異なり、インドや中国並びに途上国におけるモータリゼーションが進行しているので、これらの数字を超える傷害が毎年確実に起きる状況である。起きている事態を正確に把握し、戦略を策定して対策を実行し、結果を評価して、次の段階の活動を設定するISO39001のPDCAのサイクルを強力に実行する必要がある。スウェーデンを先頭に、道路交通事故による死者と重傷者をゼロにするVision Zeroが欧州で打ち出されてから20年が経過している。日本は、ドイツとともに諸外国に自動車を提供する立場にあるが、車を受取る発展途上国諸国においては、歩行者事故による死者が多くなる傾向がある。日本においても、1970年頃には年間6000人の歩行者死者が8000人を越えることが予測され、第1次交通安全計画の目標は歩行者死者の半減であった。