連載<35> 食品技術者のための食の安全基礎知識: 6.食品回収事例研究（1）調査方法と全体の傾向

摘要

病原性微生物汚染や有害物質の混入の場合は，廃棄処分はしかたないとしても，日付の誤印字のような場合には，喫食可能な状態の食品である。考えてみれば，大変もったいない話である。そのような形での食品ロスを防止するには，回収の原因となる事故を防止することが大切である。このシリーズでは，食品事故を単に事例として取り上げるためではなく，なぜ，その事故が発生したのかを推論し，再発防止策はいかにすべきかを考えることにある。この趣旨にそって，記事の中では特に悪質な事例を除いて，企業名や商品名などの固有名詞を特定する情報は原則として記載しない。ただし，いずれも食品回収情報として，あるいは，ニュース情報として公開されているので，ある程度の推測はでき得るかも知れない。