ガス検知用半導体材料の高感度設計

摘要

今後のガスセンサ市場は半導体式，電気化学式，光イオン化検出器，赤外線式，酸素濃度測定において，2011～2018年の間に400億円を上回る規模で，なおかつ年平均4．6％の成長率で順調に拡大している。中でも半導体式ガスセンサは2011年40億円～2018年44億であり，年平均1．8％の成長率である。市場拡大には安全性への認識の高まりに加え，健康増進志向が背景にある。近年，人の汗から出るアセトンをゼオライトに濃縮させた後，酸化スズで検知する皮膚センサ，SAW（Surface Acoustic Wave）デバイスを用いた生体ガス検知等，ヘルスケアや医療診断への応用分野開拓のキーテクノロジーとしてセンサに注目が集まっている。著者は安全·安心な社会を構築するための火山性ガス検知だけでなく呼気分析用センサの開発に着手しているところである。耐火物を製造する工場では成型用バインダーと混練した試料の高炉での脱脂工程で炭化水素，一酸化炭素，二酸化炭素，窒素酸化物，硫黄酸化物等のガスが発生する。コークス炉や転炉から発生するガスを有効利用する技術が開発されているが，僅かに漏れ出たガスに対する防爆および製造硯場の環境汚染低減においても，ガスを低濃度（数百ppb～数十ppm）で検知するセンサは重要視されるであろう。