キウイフルーツ'レインポーレッド'に適した 雄品種'にじ太郎'の育成とその利用法の検討

摘要

開花期が早い'レインボーレッド'においても自然受粉 を可能とする雄品種として'にじ太郎'を育成した.'に じ太郎'は'レインボーレッド'の偶発実生から選抜した 二倍体品種である.花粉品質は，酢酸カーミン染色率はや や低いものの，発芽率は他品種と同程度であった.一方 で，'トムリ'と比べると，採葯量および採取純花粉量は 少ないため，花粉採取用としては適さないと考えられた. 'にじ太郎'の花粉で受粉した'レインボーレツド'果実 は，'トムリ'花粉で受粉した果実と比べて，結実率ゃ果 実品質に差はみられなかったものの，黒色の充実した種子が増えた.開花期は'レインボーレッド'と重なるため，'レインボーレッド'を自然受粉させることができる.3年 間の自然受粉栽培について検討した結果，1.0-1.5mの1 年生側枝を'レインボーレツド'に高接ぎして配置した場 合，枝から2mの範囲内では概ね80%の結実率を確保で き，果実品質も比較的良好であつたが，それよりも離れる と結実不良や果実の肥大不良が懸念された.このことか ら，4m間隔で'にじ太郎'の枝を高接ぎし配置すること が望ましいと考えられた.以上のことから'にじ太郎'は 'レインボーレツド'の自然受粉に有効であると考えられ， 'レインボーレツド'の安定生産に寄与することが期待で ぎる.