ィネ科植物含有成分'Tricin'による抗ヒトサイトメガロウィルス作用機序の解明

摘要

ヒトサイトメガロウィルス（HCMV)は、P-ヘルぺスウィルス亜型に属するDNAウィルスであり、 幼児期に不顕性感染し、その後生涯にわたり潜伏する。臓器移植患者やエイズ患者等における免疫能 の低下により、潜伏ウィルスが再活性化し、肺炎や大腸炎などの重篤な日和見感染症を引き起す。ま た、近年若年層のHCMV抗体保有率の低下に伴う胎内感染の増加が危惧されている。日本で認可され ている抗HCMV薬として、ガンシクロビル（GCV)とホスカルネットがあるが、薬剤耐性株の出現 や副作用が問題となり、新たな抗HCMV薬の開発が求められている。我々はこれまでにイネ科植物1 つであるクマザサに含まれるtricinが、GCV耐性HCMVに対しても抗ウィルス効果を示すことを明ら かにし報告してきた。本研究では、tricinの抗HCMV作用，序についてケモカインのCCL-2に着目し、 HCMVとCCL-2の関係を検討することを目的とした。