グラム陰性菌の病原遺伝子探索：病原性大腸菌O157を中心に

摘要

腸管出血性大腸菌（EHEC）O157:H7を始めとしてほとhどの重要な病原細菌の全塩基配列が決定された結果，病原性に関わる遺伝子群が絞り込まれてきた．しかし，病原性における役割は今後の解析を待たなければならない．また，病原性遺伝子の発現制御ネットワークは非病原細菌の制御系に組み込まれて構築されていることが示唆されている．DNAマイクロアレイによる発現解析は，こうした複雑なネットワークや環境因子への応答機構を解明する強力な方法の1つとして注目される．他方で，病原性の解析には適切な感染実験系の確立が期待される．