近年の大規模地震に伴う地震地すべりの運動形態と地形·地質的発生の場

摘要

我が国の地震動を主な誘因として地震時に発生した地すべり（以降，地震地すべりとする）が，どのような地形?地質に，どのような形状で発生しているかという総合的な研究報告はほとhど見あたらない。このような研究が少なかった理由としては，土砂災害を伴う特に内陸直下型大規模地震の発生が稀であることや，発生したとしてもさまさまな地形や地質が分布する地域にまhべhなく発生しているわけではないこと，さらに日本の近代化が始まる1868年以前の記録が科学的，学術的に記載されているものが少ないことなどに起因する。また，このような背景もあって，地すべり研究者，技術者の多くが，地震に伴う初生地すべりや，再活動地すべりの発生は非常に稀なことであるとの認識があったことにもよる。