ブドウ球菌エンテロトキシンの分子構造とその機能解析に関する研究(Studies on Molecular Structure and Biological Function of Staphylococcal Enterotoxin)

摘要

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は,敗血症,肺炎,骨髄炎などあらゆる臓器の化膿性疾患の起炎菌となり,その治療に用いられる抗菌剤に対し容易に耐性を獲得する.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は,病院感染の主要原因菌として相変わらず重要な病原体である.一方,本菌はブドウ球菌エンテロトキシン(SE)及び毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)をはじめとする種々の毒素を産生し,ブドウ球菌性食中毒,毒素性ショック症候群,ブドウ球菌性表皮剥脱症候群の原因となる.SE及びTSST-1は黄色ブドウ球菌が産生する分子量25 kD-30 kD の菌体外タンパク毒素である.