転移性大腸腫癟(子宮体癌）

摘要

70歳代の女性。2010年12月末に子宮体癌lb期 (pTlbNOMO)に対して，準広範子宮全摘+両側付属器切 除+リンパ節生検を施行された。2012年7月の腹部CT検査で骨盤内に再発を認め，化 学療法を実施していた。2013年12月に施行した腹部PET-CT検査では，膣断端 や直腸周囲，傍大動脈リンパ節や右外腸骨リンパ節，下 行結腸にFDGの集積を認め，局所再発?リンパ節転移 播種が疑われた。大腸病変の精査目的に当科紹介となつ た。下部消化管内視鏡で，下行結腸に頂部に陥凹を伴う粘 膜下腫瘍様病変を認め（図1a), S状結腸にも同様の病変 を認めた(図1b)。壁外圧排や狭窄像も観察された。腫瘍 部から採取した生検組織標本では，粘膜固有層の一部に 異型細胞が認められたのみであった(図1c,d)。その後,2015年11月に血便のため再度下部消化管内視 鏡検査を施行すると，下行結腸からS状結腸に多発する 粘膜下腫瘍様病変(図2a, b)と腸管狭小化を認めた。腫瘍 部から採取した生検組織標本では，表層上皮は正常であ るが，粘膜下層に異型細胞の浸潤性増生が認められた (図2c,d)。以上より，本症例は子宮体癌の播種と考えられた。