非定型うつ病を伴う月経前不快気分障害にfluvoxamineが著効した1症例

摘要

非定型うつ病を伴う月経前不快気分障害にfluvoxamineが速効的であった症例を経験した。 その抗うつ効果は2つの経路でみられ，月経前の1週間においては，主に不安の緩和，攻撃的破壊的衝動の緩和，猜疑心の軽減等の結果得られる間接的抗うつ効果であり，月経期においては，主に高揚作用による直接的抗うつ効果であり，いずれも過眠の改善もみられた（覚醒作用）。 適正なfluvoxamineの服薬量は月経前の1週間と月経期が50mgであったのに対して，月経前の1週間と月経期以外では，同量では強い吐き気の副作用が出現しゃすくなり，その半量の25mgに減量することで副作用はなくなって精神状態も服薬しない時より安定した。 患者の日記により，月経前の1週間と月経期に周期的に生じる症状がfluvoxamineの服薬により明らかに改善していることがわかった。 しかし，日記の内容と心理テストの結果から，月経前の1週間と月経期以外においても非定型うつ病の特徴がみられることから，薬物療法に加えて今後も精神療法の継続が必要であると思われた。