神経性大食症として治療されていた身体醜形障害を伴う非定型うつ病の1症例 ボディイメージ障害を中心として

摘要

長期にわたり神経性大食症として治療されていた身体醜形障害を伴う非定型うつ病の1症例について報告した。症例は15歳の女性。 過食症状と抑うつ症状が認められたが,身体醜形障害によるボディイメージの障害が先行して生じていた。 患者は身体醜形障害を契機として非定型うつ病となることで過食症状が生じていたにもかかわらず,患者の過食を神経性大食症の症状ととらえた治療者は,神経性過食症におけるボディイメージの障害に焦点を絞った治療を続けたため症状が遷延化することとなった。 神経性大食症と身体醜形障害はともにボディイメージの障害が生ずることは共通しているが,神経性大食症と身体醜形障害のボディイメージ障害を比較検討した結果,身体醜形障害のボディイメージ障害の方がより妄想的で強迫的であることが示唆された。