雲マイクロ物理シミュレータによる雲粒子成長の解明

摘要

雲粒子から雨粒子までの成長を解明する雲マイクロ物理シミュレータの開発を行い，乱流混合を受けながら凝結過程による成長と，衝突·併合による成長の部分的なシミュレーションが行えるようになってきた．これまで見てきたように凝結過程での成長は遅い．一方，衝突はこれまでの理論的，数値的研究より半径が30μm以上でないと実質的な衝突は起こらない．それでは，雲粒子は衝突過程が有効になるまでどのように成長するのであろうか？この段階を正しく解析できるようにしなければ一貫した雲粒子の成長をシミュレートできるようにはならない．凝結過程による成長を維持するには，大きく分けて2つの方法が考えられる．第1には外部から絶えず水蒸気を補給する方法．第2は，対象としている小領域を上昇気流により上空に持ち上げ，断熱膨張による過飽和蒸気圧の低下により過飽和状態を維持する方法である．