雲のシミュレーション面何が問題か:全球雲解像モデルによる雲の階層構造シミュレーション

摘要

将来の気候変動予測や数値天気予報など，地球大気の循環を数値的にシミュレーションするために大気大循環モデル（General Circulation Model,略してGCM）が用いられている．GCMでは，地球全体を格子に区切り，離散化した流体力学の方程式に基づいて風や温度，水蒸気などが数値積分される．GCMを用いた将来の気候変動予測において，雲の変動の予測の不確定性が非常に大きいことが知られている．IPCCAR4（気候変動に関する政府間パネル第4次レポート）では，雲の変動の不確定性が，モデル間の気候感度のばらつきの最も大きな要因であると結論づけている（1）．