[フ—ドバレ一とかち]に観る農食産業の連環ビジネスモデル

摘要

本誌前号(3月号)で紹介したマンゴ—のハウス栽培技術が「十勝"夢"プロジェクト、真冬のマンゴーづくり大作戦」として、平成W年度新エネルギ—財団会長賞を受賞した。その受賞理由は、冬期に酷寒となる十勝地域で化石燃料をほとhど使用せず、温泉熱、雪氷冷熱およびバイオディ—ゼル燃料(BDF)を活用して、冬期に亜熱帯果実マンゴ—「白銀の太陽」のハウス栽培を実現していることにあった。その温度管理法の特徴は、土中に埋設した安価なパイプ網を熱交換器として、花芽分化の管理期(6-7月)には保存した雪によって果樹が冬と勘違いするまで栽培土壌を冷却し、逆に冬期汉穫期(S月以降)には温泉熱により温める「周年土壌温度制御技術」にある。この省エネと栽培管理技術により、クリスマスに続く正月シ—ズンを夕ーゲットとして収穫期を調整し、首都圏の高級果実店やデバ—トなどへの出荷を可能とし、市場での希少価値による超高利益率マンゴ—の販売を実現している。この事業はBDFの原料に用いる廃食油や菜種油、BDFを熱源とするハウスの温度管理技術および高収益を確保する市場流通のあり方などに関する産業連環ビジネスとして実現されている。今後は、マンゴ—以外の高付加価値果樹へこの栽培法を適用して、これらのノウハウを異業種間で共有化しながら技術の普及とビジネス拡大を推進する計画と伺っている。