茶の機能〔1〕茶の効用の故事をたずねて（1）--科学的検証の試み--

摘要

中国を起源とする茶は，世界で最も長い歴史をもつ飲料である。 日常茶飯事と言われるように，わが国でも昔からお茶はご飯とともに最も日常的なものとして親しまれ，飲み継がれてきた。 このお茶は，食品分類上からはコーヒーやココアなどとともに「時好品」として扱われている。 お茶の浸出液中の栄養成分は微量で，ノンカロリー，刺激成分であるカフェインが含まれていることからすれば，時好飲料として取り扱われてもおかしくはない。 一方で，陸羽が著した『茶経』，陳臓器が撰集した『本草拾遺』，李時珍が編纂した『本草綱目』など，中国古来の数々の茶書，本草書や，わが国の栄西が著した『喫茶養生記』などには，茶のさまざまな効用が記されており，お茶は嗜好にかなう飲料であるとともに，“養生の薬”として，健康によい飲み物であることを，人は経験的に知っていたことも事実である。