果実、果汁飲料と機能性成分（13):梅、梅飲料の生産および機能性研究の動向

摘要

ゥメは我が国で最も古くから人々に親しまれて きた果樹の1つである力《，その果実は，酸味が非 常に強いことと，生の果実では青酸配糖体が含ま れることから，生食されることなく，ほとhどす ベてが加工されることを前提とするものであり， 我が国で生産されている果実の中では，ユニーク な存在であるといえるだろう。その原産地は中国 の四川省，湖北省あるいは湖南地方とされ，漢の 時代にはすでに栽培が行われていたことを示す記 録が残っている。我が国には，弥生時代に稲作文 化とともに大陸より渡来したものと考えられているが，生食できないという果実の特徴のため，我 が国に導入されてから長い間その果実が食用に供 されることはなく，花を愛でる植物として親しま れてきたようである。その果実が利用されるよう になったのは鎌倉時代以降といわれている1)。本 稿では，現在のウメ果実の生産状況の特徴，また 主な加工品について解説し，最近のウメの健康機 能性に関する研究動向について解説する。