Pseudomonas fragiagiとPseudomonas taetrolensを中心としたPseudomonas属細菌の低温下におけるタンパク質分解能

摘要

本研究は食品の低塩保蔵中の微生物による変質の調査の一環として，低温下でリパーゼ活性が強いとされる細菌のPseudomonas fragiとPseudomonas taetrolensを中心に低温下における生育とタンパク質の分解活性を調べたものである。 P. fragiとP. taetrolensの32株の供試菌株のうち10°Cの培養では，培養3日後に26株が生育を示し，そのうち2株が15°Cでクリアゾーンを形成していた。 培養7日後では4°Cでこれら2種の80％以上の菌株の生育がみられ，4株が4°Cでクリアゾーンを形成していた。 21日後には，4°Cでも大きなクリアゾーンを形成している菌株があった。 そのほかの種でも低塩でクリアゾーンを形成する株が多数者在した。 また，P. putidaの菌株はクリアゾーンを形成しなかった。 以上のことからP. fragiやP. taetrolensには低温条件下でタンパク質分解能を示す菌株が含まれリパーゼ活性が強いことをふまえると，食品の低塩保蔵中の変敗にこれらの細菌が関与することが示唆された。