飼料イネ専用収穫機で調製したコムギホールクロップサイレージの発酵品質

摘要

わが国では自給飼料の生産拡大が急務となっている。そのためには飼料作物の単収の向上とともに，輪作など合理的な飼料作物の作付け体系を確立することが重要である。 また，食用米の需給調整に対する取り組みとして，水田を飼料作物の生産に活用することが現在検討されている。 飼料イネは水田利用を目的として作付けが拡大してきた飼料作物の一つであるが，その背景には専用品種の育成（Sakaiら2003）や，ダイレクトカット方式専用収穫機の開発（浦川1999）がある。 北関東以南の稲麦水田二毛作が可能な地域（田中1991）では，この飼料イネと冬作飼料作物のムギ類の栽培を組み合わせることで水田の高度利用が可能となると考えられる。 ムギ類のホールクロップサイレージ利用としてはエンバク（岩崎ら1978；Bergenら1991），ライムギ（中西ら1982；Moonら1993），オオムギ（飛岡ら1990；福見ら1993；Kumaiら1995）などがよく知られているが，コムギについては検討が少ない。