海洋渦鞭毛藻より見いだされた新しいマクロジオライドAmphidinolideXの構造と生合成

摘要

マクロライドという名称は，ノーベル化学賞を受賞したWoodwardが，1957年当時知られていた大環状ラクトンに糖が結合した抗生物質を総称して名付けたものであり，その後，大環状ラクトン構造を有する天然有機化合物の総称として用いられるようになっている．現在までに放線菌，真菌類をはじめ，海洋生物などの幅広い生物に1，000種以上のマクロライドが知られており，医薬資源としても重要な二次代謝産物である，筆者らは，沖縄で採取した扇形動物に属する無腸類ヒラムシAmphiscolops sp．の体内に共生するAmphidinium属の渦鞭毛藻を分離し，実験室で大量培養して得た藻体の抽出物から，Amphidinolideと命名した培養腫瘍細胞に対して殺細胞活性を示す一連のマクロライド化合物を，現在までに35種単離し，それらの化学構造を明らかにしてき．