2．レトロウイルスのジーンサイレンシング --ウイルス学はエビジェネティクスの分子機構の解明を担う--

摘要

ヒトデノムを腑瞑すると感染性レトロウイルスと相同な配列を持つretrovirus－like element（内在性レトロウイルス）が全ゲノムの約8％を占めていることに気づく（図1）, これにSINE（short interspersed transposable element）やLINE（long interspersed transposable element）等のレナlロトランスポゾンを含めるとこれらは全ゲノムの40％を越える（図1）,このなかには，数は少ないが自己転移能をもったLINE, やおそらく感染性をもつ内在性レナロウイルの存在も知られるようになってきた従って, ヒトゲノムにはこれまで相えずレトロウイルスやトランスポノ、ンが侵入し，宿主細胞の系を使って増殖してその配列が進化の過程で蓄積されてきたことが推察される　 これらの外来の配列が宿主に挿入されると, 内在性遺伝子が破壊されたり異常な発現をするようになるはかりか，多コヒ一に増えてくると相同組み換えの頻度も著しく高まるそのためこれらの外来転写ユニソトの増加はゲノムの安定性に大きな負荷を与える.ブロウイルスの挿入が内在性遺伝子の機能の多様化に貢献していると考えられるまれな囲も示されてはいるが, 宿主にとってレトロウイルス-レトロトランスポノ、ンは大きな脅威となっており，宿主は本質的に細胞核内にこれに対するゲノム防衛構構を内蔵しているものと考えられる．宿主はゲノム内へのこれら寄生体ゲノムであるレトロウイルスの侵入を認識しその発頸をまず抑制する〔ジーンサイレンシング〕．やがで寄生体ゲノムの配列内にある CpG 配列中のシトシン残某は、ほとhとがメチル化を受再るようになりさらに長い進化の過程ではこうした5メチルシトシン残基はゆるやかにチミンへと変摸され，外来遺伝子はpseudogene化して化石としてゲノム利こ残されているのである．