冷却プレート培養システムを利用したゼラニウム（Pelargonium X hortorum）とアイビーゼラニウム（P. peltatum）との種間雑種作出

摘要

前報において，ゼラニウム（Pelargonium X hortorum）とアイビーゼラニウム（P. peltatum）との種間雑種作出のための胚珠培養法における脱分化および再分化用培地の決定はできたが，シュートのガラス苗化が問題となった．本報告では，冷却プレート培養システムを用いた場合の培地温度，培養容器（UMサンプル瓶）内部の温度と相対湿度がゼラニウムとアイビーゼラニウムとの交雑胚珠由来のカルスからの再分化，カルス当たりのシユート数およびガラス苗化の制御に与える影響を調査した．ノーマルプレート（対照区）では培地温度および培養容器内部の温度の上昇が認められ，相対湿度は97～99％と一層して高い値を示したのに対し，冷却プレート培養システムでは，培地温度を下げることで容器内部の温度の上昇を妨げ，それに伴い相対湿度は77～80％まで抑制することができ，容器内では蒸散を行える環境を作り出すことができた．その結果，ガラス苗の発生を30～40％まで抑制することができた．これにより，多数の健全な小植物を得ることができ，冷却プレート培養システムを利用した胚珠培養によるゼラニウムとアイビーゼラニウムとの種間雑種作出法を確立することができた．