私たちが考える理想の村

摘要

その日私は、NHKで放映された「新日本美術館『知られざる雅の世界～京の絵師，渡辺始興～』」を何気なくみていた。渡辺始興は江戸時代中期の京都の絵師で、狩野派や尾形光琳を範とし、後の円山応挙や池大雅などに影響を与えた人物である。 その始興が措いた「四季耕作図屏風しについて、次のような解説があった。 「この絵は始興が描いた風俗画の代表作で、右から左へ田植えや稲刈りなど農村の四季の移変わりが1枚の屏風のなかに措かれています。 人物の括写にはいきいきとした動きが感じられます。農村の生活の1コマ1コマを的確に捉えながらも、画面全体には率福感が満ちあふれています」。