中国が景気対策で環境規制を緩め調整進む

摘要

2019年のマグネシウムの中国相場は，中国が景気対策のため環境規制を緩めることで，価格調整の進む可能性が高い。環境規制が継続するならじり高が続く恐れもある。タックトレーディングの上島　隆社長の予測によると，中国はアメリカとの貿易戦争による景気減速を最小限にするため，環境規制の緩和を避けられない。もともと能力が過剰のため，工場の稼働率が上昇することで調整に入るとの見方が一般的。「10～12月には2，200～2，400ドル／t（運賃を含み保険料は含まないCFR）まで調整する。だが，環境規制を継続するのであれば，年末には3，300～3，500ドルまでじりじりと上昇を続けてもおかしくない」（上島社長）。今年は，環境規制により工場の生産が著しく制限され，炉修や人手不足も重なり夏場からタイト感が続いた結果，年始の2，300ドルから足元の2，800～2，850ドルまで500ドル近く上昇。フェロシリコンなどの原料価格が17年とくらべ落着いていることから，生産者は十分に利益が出ていて，環境規制が緩まれば増産に転じる。アメリカとの貿易摩擦による景気減速の懸念で，大気汚染対策による生産停止の措置は17年にくらべ鳴りを潜めていて，環境保全と経済成長の板挟みのなか中央政府の方針に注目が集まっている。