高離型性薄膜による成形不良防止と高転写性の実現

摘要

1980年代から産学官共同研究により、トリアジンジチオール化合物に代表される有機化合物を用いた表面処理技術の開発に取り組み、種々の薄膜形成技術を構築し、接合膜「TRI System」や離型膜「TIERコート」を開発するに至っている。これら共同研究の成果により表面処理の企業でありながら、（一社）プラスチック成形加工学会から、「青木固賞」を2回、「技術進歩賞」を1回受賞している風変わりな企業である。さて、物質表面の性質はその表面自由エネルギーによっても影響を受け、表面自由エネルギーが大きくなれば「くっつきやすく」なり、表面自由エネルギーが小さくなれば「離れやすく（くっつきにくく）」なる。本稿では、表面自由エネルギーを小さくするような化合物で薄膜を形成することで実現した、高離型性薄膜であるTIERコートを紹介する。