真空ダイカストの歴史と技術動向

摘要

昨年のダイカストの生産量は85.3万tで過去最高を記録した。 これは自動車の生産が好調であったことと、軽量化の一層の推進が牽引力となったことが主な要因と思われる。さて、昨今はダイカストに要求されるレベルが一段と高度化、多様化している。 例えば、携帯電話やノートパソコンの筐体では一般肉厚が0.5mmや0.6mmが求められ、自動車ではスペースフレームの継ぎ手類、アーム類などの保安部品に、伸びが10％以上のダイカストが要求されている。 これらに対応するために、高真空ダイカストや半溶融·半凝固ダイカストなどの特殊ダイカスト技術が開発されている。 特に、真空ダイカストは圧力が10kPa以下の高真空ダイカストの開発·実用化により、これまでのダイカストでは難しいとされてきた熱処理·溶接が可能となっている。 しかし、これらの最新技術の中には、かなり以前からその考え方や理論があったものもあり、過去に研究あるいは開発された技術が時代に埋没していることが多い。 そこで、本稿では真空ダイカストに絞って、技術的な歴史を調査するとともに、最新の動向について紹介する。