Ewing肉腫に対するヒストンデアセチラーゼ阻害剤の効果

摘要

Ewing肉腫では特異的染色体転座tの結果,融合遺伝子EWS-Fli1が生じている. EWS-Fli1によるEwing肉腫の発癌機構として, G1/S期移行にかかわる因子の発現異常があり,細胞周期制御機構の破綻があることが明らかとなってきた. EWS-Fli1はp21遺伝予プロモ-ターに結合し,ヒストンのアセチル北を抑制することでp21の発現を抑制する.これがEwing肉腫の発癌原因のひとつとなっており,このことから,ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が分子標的治療薬として有効と考えられる.本稿ではEwing肉腫のEWS-Fli1による発癌機構について概説し, HDACIの有用性と将来の展望について述べる.