Na+/Ca2+交換輸送体の構造?機能の解明から 治療への応用

摘要

Na+/Ca2+交換輸送体(NCX)は，3個のNa+と1個のCa2+を交換輸送する細胞膜トランスポーターで あり，細胞内Ca2+ホメォスタシスの維持やCa2+シグナルの形成に関わっている.哺乳類には3種の NCX分子種が存在しており，NCX1は心臓，血管，腎，脳に多く発現し，NCX2とNCX3はおもに脳， 骨格筋に発現している.遺伝子改変マウ'スゃ特異的阻害薬を用いた研究から，NCXは食塩感受性高血圧， 虚血再灌流障害(移植後脬島障害)，神経変性疾患，電解質異常などの病態機序に関与することが示されて いる.また近年，NCXホモログの構造解析がfSl7的に進展し，イオン輸送機構(交互アクセスモデル）の 分子基盤が响らかにされつつある.本稿では，fl^CXの構造?機能と病態機序に関する最近の知見を紹介 するとさもに，NCXを標的とした治療応用のお能性について概説する.