高血圧の発症要因とその予後

摘要

高血圧は内科医の日常診療でもっともよく遭遇する疾患である．2000年の"第5次循環器疾患基礎調査"によれば，30歳以上の日本人男性の47．5％，女性の43．8％に高血圧が認められ，その総数は約4，000万人と推定されている．ゎが国では高齢人口が急速に増加していることから，高血圧患者は今後さらに増え続けることが懸念される．一方，高血圧は脳卒中や虚血性心疾患など心血管病の重要な危険因子であることが知られている．過去40年間にわが国の脳卒中の死亡率·発症率は大幅に減少したが，これは高血圧管理の普及によるところが大きい．このような高血圧の時代的変化を再検討するとともに，高血圧発症の危険因子とその予後を明らかにすることは，今後の心血管病の予防戦略を構築するうえで大きな手がかりを与えるものと考えられる．