プロテインS欠乏症による上腸間膜静脈血栓症に対し保存的治療を行った1例

摘要

症例は50歳，男性.腹痛を主訴に前医を受診した.腹部造影CT検査にて上腸間膜静脈血栓症（SMVT)の診断 となり，当センターへ紹介された.来院時，腹膜刺激徴候を認めたが全身状態が保たれていたため，保存的治療 を行った.血液検査にてプロテインS欠乏症と診断された.徐々に全身状態は改善し第56病日に退院した.現 在1年1か月が経過し，再発を認めていない.SMVTの治療として，腹膜刺激徴候を認める症例では手術を行う ことが多いが，今回，保存的治療を行い良好な経過を得た.早期診断がっき，全身状態が保たれていれば，保存 的治療にて軽快する症例もあると考えられた.