MgAl合金の高圧力状態図と固溶および時効による機械的性質の変化

摘要

近年エネルギーの有効利用の観点から，地球環境問題の解決法の一つとして輸送機器の軽量化，リサイクルの高効率化を目的に軽金属の研究開発が急速に進展している．特にMgは実用構造用金属材料の中では密度が1.74 Mg/m{sup}3とAlの2．7Mg/m{sup}3，Tiの4.5Mg/m{sup}3，Feの7.86 Mg/m{sup}3と比較して最も軽量である．また，融点が922K と低いため製造工程やリサイクルに要するエネルギーが小さいこと，さらにMgは海水に多く含有し極めて豊富な資源として存在するなどの特徴を有する．材料特性として比強度，比耐力が高く，振動吸収性，放熱性，寸法安定性，電磁遮へい能，切削性，熱中性子吸収性などに優れ次世代を担う材料として期待されている．すでに，航空·宇宙，原子炉などの先端機器や自動車，コンピュータ，携帯電話などの輸送，家電，情報機器などの様々な分野に利用されている．これらのMg合金に関する研究開発は，耐食性，耐摩耗性をはじめとする力学特性の一段の向上を目的とした微細組織制御による新合金開発や表面処理技術，粉体化や固化成形技術などの製造プロセスの高効率化，ライフサイクルでの環境負荷特性評価手法の開発など広範囲に及hでいる．実用に供されているMg合金はMg-Al系とMg-X-Zr(X＝Cu，Ag，RE) 合金に大別できる．