東京都におけるエダマメのダイズシストセンチュウの発生と防除技術

摘要

ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines Ichinohe, 1952)は，最近の本誌でも取り上げられているように (相場，2001;串田，2012)，ダイズやアズキ，インゲン 等のマメ科作物の重要害虫であり，雌成虫が形成するシ ストによって卵が守られるため，環境耐性が高く，防除 が困難な害虫である。東京内（以下，都内とする）においてエダマメは直 売品'目として人気が高く，消費地に近い有利性を活かし て数十年前から栽培されており，栽培は，主に江東地域 (葛飾区、足立区、江戸川区の3区）や練馬区，世田谷 区，多摩地域等で行われている。江東地域のうち，葛飾 区.足立区の生産圃場では，10年程前から葉の黄化， 生育不良，収穫減少などが発生し（口絵①)，生産上の 問題となっていた。これらを調査した結果，現象は主に 本種に起因していることが判明し，多摩地域における発 生も確認された（東京都病害虫防除所，2005;伊藤ら， 2006)。