自己組織化を利用した腎臓オルガノィドの作成

摘要

ヒト胚性幹細胞(ES細胞）およびヒト人工多能 性幹細胞(iPS細胞）（総じてヒト多能性幹細胞と よばれる）の分化を制御して目的の臓器細胞を誘 導する手法(幹細胞分化誘導法)は現在のところ， 再生医療のための人工臓器を作成する手段として もっとも有望であるとされている.ヒト多能性幹 細胞はヒト個体発生でいうと，受精後約7日目以 降，着床後に形成される胚盤葉上皮(ェピブラス ト）に相当し，ェピブラスト同様，内胚葉および中 胚葉，外胚葉のどの胚葉へも分化する多能性をも つ.したがって幹細胞分化誘導法では通常，ェピ ブラストから目的臓器の細胞までのヒト個体発生 の段階を模倣するように，ヒト多能性幹細胞の分 化誘導条件が設計される.