肥満による自己免疫疾患発症リスクと，脂肪酸代謝酵素ACC1によるTh17細胞分化制御機構

摘要

肥満人口は世界規模でみても増加の一途をた どっており，日本では肥満症(健康障害を伴う肥満)の診断基準が2001年に，内臓脂肪の蓄積を基 盤としてさまざまな代謝異常をもたらすメタポ リックシンドロームの診断基準が2005年に策定 されている.内臓脂肪蓄積を伴う肥満症の特徴として，脂肪 組織で慢性炎症が生じており，糖尿病や動脈硬化 症などの心血管系疾患の一因となっている.ここ 数年の研究から，免疫システムと代謝システムを 担う細胞の相互作用により，肥満関連疾患の病態 が増悪化することが明らかになりつつある.