ニールス?イェルネというヨーロッパの哲学的科学者から見えてくるもの

摘要

フランスで哲学的視点からこの世界を眺めるこ とに決めた当時，多くの方から心の籠もった言葉 をいただいた.その中に，わたしの歩みがニールス?ィエルネ(Niels Jerne, 1911-1994)博士と重 なったという若き日の研究仲間T氏からの言葉 を発見し，その比較に驚いた.T氏はヨーロッパ に長く滞在していたので，その観察には何らかの 真実が隠されているのではないかという想いとと もに，それまでは名前だけだつたその免疫学者が 一つの意味を持ってわたしの前に現れた.しか し，伸し掛かるような新しい領域での学業のた め，そのことについて調べる余裕は全くなかつ た.それが可能になったのは，マスタ一1年目が 終わる2008年の夏の頃である.